2019/04/07財産管理には最適な家族信託
先日、個別相談をさせていただいたお客様とお話させていただく中で、改めて財産管理に家族信託は有効だと感じました。
親世代が認知症になってしまってからでは、子世代は親の財産管理を自由には行えなくなります。
ぜひご両親がお元気なうちに老親をどのように支えていくかご家族でお話してもらいたいと思います。
◆遠く離れたところに住む両親をどのように支えるか?
先日ご相談させていただいたお客様は、50代後半で現在東京都内に奥様とお子様と3人でお住いになっています。仮にA様とさせていただきます。(個人情報等の関係で個人が特定されないように様々な部分の設定を変更しています)
A様のお父様は10年ほど前に亡くなっており、80代後半のお母様が富山県の実家にお住いになっています。
A様は4人兄弟の次男ですが、一番上のご長男様一家とお母様が一緒に富山県の実家でお住いになっていました。ところが数年前にこのご長男様が亡くなり、お母様とご長男様のお嫁さんが2人でお住いになるようになったそうです。
そのあたりからお母様とお嫁さんのそりが合わなくなり、難しい関係になってしまったようです。
ご相談者のA様は、今はまだお母様がお元気ですが、今後歳を重ねていき、施設に入所したり、認知症になってしまったりした場合に、お母様の財産管理をお嫁さんに任せることにたいして、一抹の不安をお感じになっているようでございました。お母様ご自身のお気持ちはまだ、わかりませんが、お母様もご相談者のA様とどうようなことをお感じになっているかもしれません。
A様のお母様は、ご自宅以外にも不動産をお持ちで、それらの財産管理をお嫁さんに任せていいものかどうかということが最大の懸念事項のように思いました。
◆財産管理に最大のメリットを発揮する家族信託
A様のお話をお伺いする限り、家族信託はかなり有効な財産管理の手段になるのではないかと思いましたが、無理におすすめするわけにはいきません。
家族信託は、家族みんなで老親をどのように支えていくのかを考えることが必要です。
財産管理を任される受託者に大きな権限と責任がうまれます。さらに受託者に実務的な負担もお願いする形になりますので、受託者ご本人のお気持ちや他のご兄弟の同意も必須だと思います。
そして何より財産管理を任せることになる親自身が、家族信託の仕組みを正しく理解して、お子さんに財産管理を任せることに納得している状態でお話をすすめないと後から必ずトラブルのもとになります。
家族の皆さんが共通認識の上で、財産管理の手段として家族信託を利用するのであれば、とても有効な財産管理の一つと言えます。
◆家族会議に専門家が同席させていただく意義
A様の場合ご家族皆さんの合意があったうえで、お母様に内容をお伝えし、お母様のお気持ちをお聞かせいただく際には、私が家族会議に同席させていただくということもできる旨をお伝えさせていただきました。
専門家が家族会議に同席させていただく意義を以下のような点をあげさせていただきました。
- 家族信託の仕組みをご家族だけでお伝えすることが難しいこと
- お話が相続や家族信託以外のお話に脱線しやすいこと
- 相続の専門家がいないと、どこにどのような問題があるのかがわかりずらいこと
- 着地点がなかなか見つからず、うやむやで家族会議が終わってしまうこと
ご実家が遠い場合でも出張料や交通費はいただくことになりますが、どこにでもご訪問させていただくこともお伝えさせていただきました。
5人に1人が認知症になる時代です。親の財産管理をどのように行っていくかというは今後も大きな社会問題になってくるはずです。
財産管理の手法の一つに家族信託をぜひ加えてもらいたいと思います。
今日もありがとうございました。