2019/01/01【書評】『ソバニイルヨ』~アイを伝えるために生まれた~
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
喜多川泰さんの小説『ソバニイルヨ』を年末に
読ませていただきました。
『自分らしく生きる』ことが大切なんだということを教えてくれる
素晴らしい本に出会いました。
仕事や人生に迷ったとき、読んでいただきたい素晴らしい小説です。
人にやさしくなれるには何が必要だと思われますか?
◆『変人』の父親からの置き土産
主人公の隼人は、思春期真っ只中の中学1年生。
サッカーが大好きで、勉強があまり好きではない一般的な中学生。
真面目に勉強するのがかっこ悪いと思っている隼人とは対照的に、
自分の大好きなAIを研究するために近くの工場を『研究所』
として借りる父親に嫌悪感を持っている隼人。
その父親が仕事で3か月間アメリカに旅立つことに。
父親が隼人に残していった置き土産は、
『研究所』で作った『ユージ』というロボットでした。
『AI』を搭載されたユージは、隼人と毎日会話をしながら、
隼人にアイを伝えるために生まれてきたと告白します。
◆子供が思春期になったらそっと渡したい小説
この小説を読みながら、自分の思春期の頃を思い出し、
『そうそう、自分もそうだった』とうなずきながら、
どんどん物語に引き込まれていきました。
他人の目が気になってばかりいた中学・高校時代。
何のために勉強するのか分からない。
何を言われても、反発ばかりしていたあの時代に、
この本に出会っていたかったなぁと思います。
自分にも娘ができて、この本の中の父親や母親の目線でも、
物語に入り込んでいきました。
隼人がユージと毎日生活をしていくなかで、少しずつ
勉強が好きになっていき、何のために勉強をするのかを
学んでいきます。
また、ひそかに恋心を寄せる同級生の女の子『円花』に、
言われた一言に隼人は、ドキッとさせられましたが、
私自身も考えさせられる言葉でした。
毎日仕事をしているとこの言葉がとても響きます。
『そうそう!』と。
物語の途中で、円花と円花の愛犬『デルピエロ』との
エピソードが出てきますが、我が家もパグの『梅太郎』という
愛犬がいます。
円花とデルピエロが、娘と梅太郎に重なりました。
子供が思春期になるときには、どんな言葉をかけるよりも
この本をそっと机に置いておくほうが、より効果的な気がしました。
◆『アイ』を知ると人は優しくなれる
青春時代の悩みはたくさんあります。
勉強のこと、人間関係、淡い恋、親との関係など、
様々なことに悩みます。
大人になっても、様々な悩みが生まれます。
青春時代とは違った悩みや心配事に苦しみます。
そんな時に、自分らしく生きる勇気を与えてくれる
素晴らしい小説でした。
周りに何を言われようとも、自分が信じる道を進めばいい。
周りの価値観に押しつぶされるなと。
『アイ』の意味は何なんでしょうか?
それはこの本を読んで感じてもらいたいと思います。
元気をもらいたいときにぜひ読んでいただきたい
どんな年代の方にもおすすめな小説です。
ぜひご一読を!
今日もありがとうございました。