2018/11/20中小企業経営者は知っておきたい『新事業承継税制』
中小企業の経営者の方々にとって、事業継承は大きな
テーマです。
まずは、誰に引き継ぐのかを決めなければなりません。
また、引き継ぐ方が決まった後は、株式の贈与税や
相続税をどのように納めるのかという点が、大きな問題と
なっています。
そこで2018年度の税制改正で、これら税制に新たな特例措置が
できました。
事業承継を考えている方は、ぜひとも利用したい特例措置となっています。
◆新事業承継税制は期限付きの特例
この新事業承継税制を利用するには、2018年度から5年以内に
『特例承継計画』を都道府県に提出し、10年以内に後継者が
自社株式の贈与または相続を受けなければなりません。
この特例承継計画を提出しないとこの新事業承継税制は適用されません。
また、逆にこの特例承継計画を提出したけれども、実際には
新事業承継税制を利用しなかったとして、何の罰則等の
デメリットはありませんせんので、中小企業経営者の方で、
事業承継を考えている方は、とりあえずこの『特例承継計画』は
提出しておくべきです。
計画書の作成は、認定支援機関(税理士や金融機関など)の
協力が必要です。
◆全株式が納税猶予の対象になる
今までの事業承継税制では、納税猶予される株式が議決権総数の2/3
までとされていましたが、新事業税制では、この上限枠が撤廃され、
議決権株式総数の100%が対象となり、贈与税・相続税ともに100%の
納税猶予ができるようになりました。
また今までの事業承継税制では、先代経営者1人から1人の後継者への
相続・贈与が対象でしたが、新事業承継税制では、筆頭株主以外の
人からの相続・贈与も対象になり、後継者の要件も最大で3人まで可能と
なりました。
例えば、現在の株主が、先代経営者・先代経営者の配偶者の2人
として、後継者は長男、次男、三男の3人とした場合でも、
先代の2人の株主からの株を子供3人に相続・贈与することが
できるようになったということです。
◆平均8割以上の雇用確保の要件は撤廃
現行の事業承継税制では、承継後の5年間に平均8割以上の雇用の
確保を維持できないと猶予された相続税や贈与税を全額納付しなければ
なりませんでした。
新事業承継税制では、承継後の5年間に平均8割の雇用が
維持できなくも、理由を記載した書類を都道府県に提出し、
その理由が経営悪化の場合には、認定革新支援機関からの指導及び助言を
うけて、これにより納税猶予は継続になります。
その他要件もございますが、これまでご紹介させていただいたように
新事業承継税制は、かなり優遇措置のメリットが大きくなり、
この機会を逃さずに事業承継をしたほうがかなりお得だと思います。
いま社会問題になっている中小企業経営者の事業承継問題に対して、
スムーズに事業承継ができるように、政府からも税制面で
後押しをしてくれたということだと思います。
詳しくは顧問の税理士に
お聞きになるのがよいと思いますが、
セカンドオピニオンとして弊社で相続専門の税理士を
ご紹介しております。
会社経営をしていて、これから事業承継を真剣に検討するという方は、
とりあえず、2023年3月までに特例承継計画を都道府県に提出しておき、
少しずつ事業承継の計画をすすめることをおすすめいたします。