遺産分割でもめるというと

大きな資産家の家庭で

家族同士が言い争ってもめる

昼ドラのような光景を

思い浮かべる方が多いのでは

ないでしょうか。

 

わたしも相続人同士が目の前で

大ゲンカする現場に居合わせたことが

あります。

ただ、これからは遺産分割の前に

介護をめぐって、家族同士が

もめる時代になってきたようです。

 

健康寿命と平均寿命という言葉を

お聞きになったことはございますでしょうか。

 

医療などの発達により、日本の平均寿命は

男女ともに80歳を超えるようになりました。

ただし、80歳まで病気や怪我などをせずに

天寿を全うされるという方のほうが

少ないのが現状です。

健康に日常生活を送れる年齢を

平均化した数値が健康寿命というものです。

 

厚生労働省が発表している

「人口動態統計」「簡易生命表」「完全生命表」など

によると、健康寿命と平均寿命の年齢差は、

男性で約9歳、女性で約12歳の差があります。

ですから、現代においては介護期間が

約10年前後は、かかってくることが

多くなっています。

 

そこで、お子さん同士で

親の介護を誰がするのかということが

問題になってきます。

 

民間の有料老人ホームに入居した場合には、

1人当たり大卒の初任給程度の費用が

毎月かかってくるのです。

年金以外に親の資産を介護費用に

あてられるのであれば

それが望ましいでしょう。

 

ところが、資産の大半が自宅などの不動産で、

現金が少ない家庭が意外に多いのです。

いわゆる資産はあるけど現金がない

という『キャッシュプア』です。

そのような時、一時的にお子さんの1人が

介護費用を立て替えなければ

ならなくなるのです。

大卒の初任給ほどの費用を

毎月負担できるでしょうか?

 

そこで家族のなかで介護の

押し付け合いが始まるのです。

悲しいことですがこれが現実です。

介護の最前線にいる

ケアマネージャーさんからも

同様の話をよく聞きます。

 

このとき、すべてのお子さんが

親の介護に積極的に関わって

くれればよいのですが、

もしもおひとりのお子さんのご家族に

介護の負担が大きく

のしかかったときには、どうでしょう!?

 

いざ、相続が発生したときに、

介護に非協力的であったお子さんが、

法定相続分の遺産はもらうと

主張したらどうでしょう!?

 

このように、介護をめぐって

家族同士の心の中にひずみが生まれ、

相続を機に一気にお互いの感情が爆発する

というケースが非常に多くなっています。

 

相続のことだけではなく、

介護に関してもご家族皆さんで

どのようにご両親を支えていくのかを

話し合っておく必要があると思います。