2018/11/02遺産分割では遺言書の内容が優先される
相続人が確定したら、次は残された財産を
どのように分割するかを決める作業になります。
遺言書があれば、その内容が優先されて遺産分割をする
ようになります。
遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行います。
ですので、相続人は必ず遺言書があるかないかの確認を
最初に行う必要があります。
◆自筆証書遺言は家庭裁判所の検認を受ける
遺言書は、亡くなられた方の意思を表したものです。
ですから、基本的には相続人は、亡くなられた方のこの意思を
受け継ぐことは義務ではないかと思います。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の
3種類があります。
自筆証書遺言が見つかった場合には、そのままの状態で、
家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
遺言書に封がしてある場合には、開封してはいけません。
検認とは、遺言書の内容が適正かどうかを判断するものでは
ありません。
検認は、その遺言書が亡くなられた方によって作成されたものなのか
ということを確認し、その内容を認定することです。
遺言書の偽造や書き換えなどを防ぐなど、
証拠保全のために行われるものです。
被相続人が自筆証書遺言を書いた場合には、生前に
遺言書があることを相続人に知らせておくか、
遺品整理をする際に、相続人が遺言書を見つけやすい場所に
残してあげるということも必要なのかもしれません。
ただし、このような場合相続人による遺言書の偽造や書き換えなどの
心配も出てきます。
そこで、遺言書のある場所をメモに書いてそのメモを
財布に入れておくなど、ちょっとした工夫が必要に
なるかもしれません。
40年ぶりの民法改正により、自筆証書遺言を
法務局で保管する制度が始まります。
この制度を利用すれば、遺言書の書き換えや
紛失の心配をする必要がなくなります。
相続人に
「遺言書が法務局にあるから」ということを
伝えておけばよいわけです。
◆公正証書遺言は公証役場に問い合わせをする
公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保管されています。
最寄りの公証役場に問い合わせをすれば、どこの公証役場に
保管されているのかを調べてくれます。
公正証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認は必要ありません。
相続人が遺言書の内容を承認すれば、すぐに遺産分割をすることが
できます。
ただし、遺言書の内容に納得できないときには、
相続人全員で話し合い、相続人全員の承諾があれば、
遺産分割の内容を変えることもできます。
相続人に認められる最低限の遺産取得分である遺留分よりも
少ない遺産分割になっている場合には、この遺留分を請求することが
できます。
遺言を残す際には、この遺留分には配慮した遺言書にしてあげたほうが、
相続人同士がもめることが少なくなると思います。
せっかく遺言書を残すのですから、争いごとがおきないように
配慮をしてあげることは、被相続人の義務なのかもしれません。
◆遺言で指定される遺言執行者とは
遺言執行者は、遺言書の中で誰を遺言執行者にするかを
指定することができます。
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を確実に
実現させる役割を任された人のことです。
これは、弁護士や司法書士、税理士などの士業の先生方
でなくてはならないというようなことはありません。
銀行や不動産業者、ファイナンシャルプランナーなど
生前から資産管理において信頼されている方で
構いません。
遺言執行者がいなくても、遺産分割はできますが、遺言の
内容に沿って手続きを公平かつ円滑にすすめるためにも
遺言執行者は指定するほうが安心だと思います。