2018/10/17積水ハウスをだました地面師から思う不動産売買の将来
昨日大手ハウスメーカーの積水ハウスから55億円もの大金を
だまし取った地面師のグループが逮捕されました。
昨日のテレビやラジオ、新聞、ネットニュースでも
かなり話題になっていました。
そもそも地面師というのはどのようなことをして、
このような大金をだまし取ることができたのでしょうか?
◆一般的な不動産売買の流れ
一般の方が、不動産の売買をするというのは、一生のうちに
1度か2度くらいということが多いのではないでしょうか?
不動産を売却する場合には、まずは不動産会社に
売買価格を査定してもらい、その値段で売りに出します。
買主さんが見つかれば、通常は不動産業者が仲介をして
売主様、買主様、不動産業者立会いのもと、不動産の売買契約を
締結します。
この際に手付金を買主様から売主様へ手付金をお支払いいたします。
このような売買契約を締結したからといって、すぐにこの不動産が
買主様のものになるかというとそうではありません。
売買契約後、土地であれば、売主様は、測量をして
隣地との杭の位置を確定したり、
買主様は融資を受ける場合には、銀行などの金融機関を決定して、
融資条件を確定させるようにいたします。
このような様々な作業を終えて、問題がなければ、
売買契約から1,2か月後に売買代金の残代金の支払いと同時に
不動産の所有権を売主様から買主様に移転させる登記手続きを
行います。
一般的な不動産売買の流れはこのような流れです。
では、今回の積水ハウスによる地面師による詐欺被害は
どのようにおきたのでしょうか?
◆本人確認による所有者の確定
地面師のような詐欺グループは、不動産の売主になりすまして
自分の不動産ではないにもかかわらず、あたかも自分の不動産で
あるかのようにふるまって、買主や不動産業者、司法書士などをだまして
売買契約を締結し、売買代金をだまし取ろうということを
もくろんでいるということです。
通常は、売買契約時に運転免許証やパスポート、印鑑証明書などで
本人確認を行います。
また所有権の移転登記を行うのは、通常買主様が依頼する
司法書士が行います。
司法書士も今回のような地面師グループに騙されないように
売主様の本人確認を徹底して行います。
今回の積水ハウスの事件に関しても、本人確認を行っているはずですが、
パスポートを偽造したり、不動産の権利証を偽造したり、
かなり巧妙に、そしてたくさんの人が、関係していたようです。
報道を見る限り、不動産業界では元々有名な土地であったようですし、
今になって思えば、おかしな点がたくさんあったように思いますが、
都心の一等地を安く買えるということで、前のめりになってしまった
ように思います。
逆に地面師グループはその積水ハウス側の心理を
うまく利用したのだと思います。
◆やはり不動産売買はネットでの売買は難しい!?
この今回の一連の事件から考えるに、やはり、
不動産という高価なもので、二つとして同じものがないものは、
ネットで売買するということは、非常に難しいのかなというのが
思った感想です。
最近巷では、AIやネットによってなくなる職業は!?
というようなことをよく耳にしますが、不動産売買に関しては、
AIやネットだけで売買をするということは、売主様、買主様双方にとって
リスクがあるのかなという印象です。
実際に対面取引でもこのような巨額詐欺事件が
起きてしまったわけですから、将来的にネットだけでの
不動産売買というのがどこまで進むのかは
まだ何とも言えないような気がいたします。
不動産のプロによって仲介をすることが
お客様の安全な不動産取引になるように
不動産業界の我々も身を引き締めて仕事をしなければ
ならないなと改めて感じる事件でございました。