2019/03/15【書評】模倣の経営学〜偉大な会社はマネから生まれる〜
今日ご紹介する本は、今後の自分にとってのバイブルとなりそうな本です。
今回ご紹介する本は、
井上達彦氏著の『模倣の経営学〜偉大な会社はマネから生まれる〜』
●ストーリーなきモデルは絵に描いた餅
今、日本で圧倒的な力を持っている偉大な企業の成り立ちなどを
紐解きながら、なぜそのような競争優位を維持しているのかが、
具体的に書かれています。
以前ベストセラーになった、楠木建氏著の「ストーリーとしての競争戦略」を
意識して書いているのではないかという点が多々あります。
本書のあとがきのところで井上氏は、はっきりとこう書いています。
「理想とするモデルが戦略立案に必要だという考え方は、
ストーリーとしての競争戦略と対立するように見えるかもしれない。
しかしその実は補完するものである。」
ストーリーとしての競争戦略は、戦略の立案における
ストーリーメイキングの重要性を示していますが、
本書はモデルの重要性も強調しています。
「モデルなきストーリーは不安定であり、
ストーリーなきモデルは絵に書いた餅になる。」
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
●仕組みを模倣する
実際に本書にも書かれているように日本を代表する企業も、
必ずお手本にしたモデルがあり、その仕組みを模倣し、
新しい価値を創造していきました。
本書の中では、トヨタ自動車、セブンイレブン、ヤマト運輸、
スターバックスコーヒー、ドトールコーヒー、グラミン銀行、
ライアンエア、KUMONなどを取り上げています。
本書では取り上げられていませんでしたが、
かのアップルも模倣から新しいイノベーションを創造しました。
この本の中で一貫している著者の主張は、
製品そのものを模倣するのではなく、仕組み(ビジネスモデル)を
他業種、海外、過去、社内の他部署など、様々なところを
お手本にして模倣し、新しい価値を創造するべきということです。
実際に製品レベルでの模倣は、インターネットの発達により、
そのペースが早まったとされています。
模倣者がイノベーターを模倣するのに、19世紀だと100年くらい、
20世紀前半には10年くらいに、20世紀の最後には2年未満にまでに
短縮されるようになったといいます。
ですから、技術的なイノベーションは、必ず追いつかれるということです。
本書にも書かれていますが、セブンイレブンが他社に追いつかれないのは、
その流通の仕組みと季節や地域などの特性に合わせた各店舗からの
発注の仕組みがなかなか真似ができないからなのです。
●創造のための模倣
井上氏は本書の最後をこう締めくくっています。
「ビジネスモデル発想における模倣は、単純な模倣にとどまるものではないし、
競争戦略論における模倣戦略とも異なる。
モデリングをベースにした学習戦略であり、創造のための模倣なのである。」
この一文に著者の伝えたいことが凝縮されていると思います。
具体的にどのように模倣をしていけば良いのかというところを、
ヤマト運輸の個人宅配事業の確立を
例に上げながら、とてもわかりやく書かれています。
この本は、間違いなく私の今後のバイブルになりそうです。
会社を経営されている方、会社の中で新規事業を
立ち上げようとされている方、これから起業しようとされている方には、
必ず役に立つと思います。
ぜひ騙されたと思って読んでみてください。
必ずどこかにヒントがあると思います。
今日もありがとうございました。