2018/10/24相続対策と認知症対策はセットで考える時代です
これからの超高齢化社会の時代には、
4人に1人が認知症になると言われています。
このような時代には、相続対策と認知症対策をセットで
考えておいたほうが安心です。
入る施設が見つかっても、その費用が捻出できない
ということにならないように今から準備しておきましょう。
◆認知症になると不動産の売却ができないって本当!?
先日、以前よりお付き合いのあるお客様に
土地の売却のご依頼をいただきました。
ところが、その土地の所有者は、
依頼を受けた方のお母様名義の土地でした。
実際の土地の管理や資産管理は、ご依頼をいただいた
ご長男様が行っていらっしゃいます。
最近、そのお母様をご自宅でお見掛けしなかったので、
もしやと思い、このようにお聞きしてみました。
「最近、お母様をご自宅でお見掛けしないようですが、
お元気でいらっしゃいますか?」
すると、
「今、施設に入っているんだよ。」
やはり思った通りのお答えでした。
更に
「お母様は意思疎通ができますでしょうか?」
すると、
「いや、それは無理だな」
「そうしますと、残念ながら土地の売却は難しいです。」
「え、そうなの!?」
このように意思疎通ができないような状態になってしまっていると
不動産の売却はできません。
このことを知らない方が意外に多いようです。
なぜ、このような状況になったら
不動産を売却できないのでしょうか?
それは、名義人ご本人が本当に不動産を売りたいと
思っているのかどうかわからないからです。
所有権の移転登記を代行していただく司法書士の先生が、
このような状態ですと、絶対に手続きをしていただけません。
なぜなら、相続発生後にこの土地の売却を知らなかった
他の相続人から訴訟を起こされたりする危険もありますし、
司法書士の資格が剥奪される危険もあるからです。
不動産売買を仲介した宅建業者も同様です。
ですから認知症になってしまったら、もう手遅れなのです。
◆認知症と成年後見制度
認知症になりますと、様々な契約行為や医療機関や
介護施設への支払などができなくなります。
そのため成年後見制度を利用しようとなった際には、
家族からの申し立てや市区町村長からの申し立てなどにより
家庭裁判所の審査が行われ、成年後見人が選ばれます。
成年後見人が名義人の方の身上監護や財産の管理・処分の権限を
名義人の代理として行うことができるという制度です。
成年後見制度は、名義人の方の財産を第三者から
守るという趣旨のもと、財産の管理・処分に関して
家庭裁判所の許可が必要なことが出てきます。
また成年後見人が、名義人の財産を不当に扱ったり、
名義人に不利益になるような財産の処分をしていないか
などをチェックするために、定期的に財産目録を裁判所に
提出しなければならないなど、かなりの精神的な負担と労力が
成年後見人には求められます。
しかもいったん成年後見制度を利用すると、
名義人の方が亡くなるまで、この制度は続き、
成年後見監督人への報酬を支払い続けなければならない
という経済的負担も大きいものになります。
このような背景もあり、なかなか成年後見制度が
普及しないという実情があります。
◆家族信託は家族の家族による家族のための制度
このように成年後見制度は、裁判所による管理というものが
メリットでもあり、デメリットでもあるように思います。
これに対して、今マスコミなどでも話題になっている
家族信託という制度があります。
家族信託は、家族の家族による家族のための財産管理方法です。
制度については、過去のこちらの記事をご覧ください。
ですので、家庭裁判所などの許可などは必要なく、あくまでも
当事者同士の契約行為ですので、その信託契約に沿った
運用をしていきます。
家族信託のメリットはいくつもありますが、一番のメリットは、
名義人が認知症になっても、柔軟な財産管理ができるという点です。
成年後見制度と違って、裁判所の許可がなくても、
名義人の不動産を売却することができます。
だからこそ、家族信託を組む前の家族会議が
非常に重要になります。
家族みんなで親を支えていくという気持ちがなければ
うまくいきません。
そこで上尾相続相談センターでは、
「家族会議支援」というサービスも行っております。
・家族会議で何を話せばいいのかわからない
・家族会議をしたけれど、どこに問題があるのかわからない
・家族会議をやったが、うやむやで終わってしまい、
その後は一度もしていない
このような方々をサポートするサービスです。
家族会議を行うことによって、
相続が発生した後のことはもちろん、
生前の介護のことについても話し合うことができます。
・どなたが親の介護の面倒を見るのか?
・費用はどのように捻出するのか?
・親自身は、どのような介護を望んでいるのか?
このようなことを親が元気なうちに
話し合っておけるということが、家族会議のメリットでもあります。
認知症対策と相続対策はセットで考える時代です。
お元気なうちに一度考えてみてはいかがでしょうか?