上尾市に限らず、相続した不動産を売却する際の注意点のなかで、隣地との境界の確定についてお話したいと思います。

一般の方々は、この測量と境界確定についてあまり知らない方や、重要視していない方が多いのではないかと思います。

不動産業者からすると、この測量と境界立会がうまくいくかどうか、とてもハラハラドキドキする場面になります。

境界が確定できない場合には、どんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。

 

◆境界の確定ができない場合は土地が売れない!?

不動産を売却する際には、一般的には測量を行い、隣地との境界を当事者同士が立ち会って確認し、隣地の方々から境界確認書に署名・捺印をいただくのが一般的です。

不動産を購入する買主さんからすると、隣地との境界が確定できていない土地を購入するのは将来的に紛争の火種になる可能性がありますし、隣地の方がどんな方なんだろうという不安に思われることもあると思います。

ですから、もしも境界が確定できない土地を売却するとなると、売買価格が通常よりも安くなってしまう可能性が高くなります。

また、大きな土地で分譲用地となるような場合には、不動産業者が一旦買取をし、戸建て用地として何区画かに区割りして再販するということが多くなります。

この場合、境界確定ができなかった土地に関しては、不動産業者が買取をしないというケースが多くなります。すると、土地を売りたくても売れないということが起きることがあります。

 

◆境界確定ができないと分筆もできない!?

先ほどのような大きな土地を分譲用地として開発する際には、大きな土地を戸建用地として最適な40坪前後の土地に分ける必要があります。これを分筆といいます。

分筆する際には、分筆したすべての土地の面積を明らかにして法務局に申請する必要があります。ですので、分筆前の元々の土地の境界を確定しないと、分筆後の正確な面積を算出することができません。

ですから、境界が確定していない土地は、原則として分筆することができません。(例外的な取り扱いで分筆できる場合もあります。詳しくは土地家屋調査士の方へお尋ねください。)よって、戸建分譲をする不動産業者も、そのようなリスクを冒してまで買取をしないということになるわけです。

境界確定がいかに重要かがおわかりになっていただけたのではないでしょうか。

 

 

◆空き家や空き地になっている場合は特に注意が必要!!

まずはみなさまがご両親から相続した不動産が、ずっと空き家になっていた場合の注意点です。

相続した不動産が空き家になっていると、雑草が生えたり、虫が湧いたりするなどして、隣地の方が快く思っていないことが多々あります。すると、境界立会に非協力的になることがあります。

ですから、ご両親様が介護施設に入ったりして空き家になってしまった場合には、常日頃からその土地の管理をきちんとしておくことです。

少し面倒だとは思いますが、将来売却することを考えるのであれば、必ずやっておくべきだと思います。境界立会で隣地の皆様からの承諾をいただく一番の近道は、とにかく常日頃から良好なご近所付き合いをしておくことなのです。

 

一方で、厄介なのは、隣地が空き家や空き地になっている場合です。

 

この場合、

①隣地の所有者が亡くなったまま、相続人に相続登記されていない

②隣地の方が行方不明

などのケースが考えられます。

 

このようなケースは、依頼した測量会社が所有者を探していくことになりますが、時間と費用がかかることになります。時間とお金で解決できるのであればまだよいのですが、結局現在の所有者が見つからないという場合には、どうすることもできません。

知り合いの測量会社に聞くところによると、最近このケースが本当に多くなってきたとのことです。こちらは何も悪いことをしていないのに、こちらからはどうすることもできないという事態です。

これから年々空き家が増えていく中で、このようなケースがどんどん増えてくるように思います。

これは社会問題として、相続登記の義務化を法律上義務付けるしか抑制する方法はないかもしれません。

 

このように測量と境界確定というのが、不動産売却の際にいかに重要かということをご理解いただけたのではないでしょうか。

思わぬ時間と費用が、必要以上にかかる場合もあります。

将来ご両親の不動産を相続したら売却するという予定なのであれば、できれば早めに測量と境界確定をしておいた方がよいと思います。

そうすれば、売却をする際にもスムーズに、より高く売却することができると思います。

境界確定の重要性を少しでもみなさまにご理解いただけたら幸いです。

今日もありがとうございました。